日向敏文『夏の猫(CHAT D'ETE)』

専門学校で偶然席が前後になった友人から、『サラの犯罪』というアルバムをカセットテープで聴かせてもらったのはもう28年前のことだ。たまたま彼とは、坂本龍一の『音楽図鑑』とメセニーの『ファーストサークル』が好きだということで音楽の趣味が一致していて、「であればこういうのも好きなはず」みたいな感じで聴かせてくれたのだと思う。日向敏文のデビューアルバムである『サラの犯罪』は、それまで全く聴いたこともない、ゆるやかで、淡々としていて、荒涼としていて、かといって無機質ではなく、厚みがあり、存在感があるのにふっと居なくなってしまうような音楽、東洋的でも欧米的でもないどこか異国の音楽、静的なリズムとストーリーがあり、目の前に景色が広がる音ーーー少し言い換えると写真を音楽にしたようなーーー
その後、日向の初期の数作品は自分にとってかけがえのない存在となった。まさに一生モノ。ことあるごとに聴き続けている。

そして『サラの犯罪』を聴かせてくれたその古い友人が、先週不慮の事故で亡くなってしまった。彼とは4つぐらいの会社で一緒に働いたことがあり、設計の仕事からCGへ転身したところまで似ていて、不思議な縁をずっと感じていた。縁があると思っていたのに突然死んでしまったので、どういうことなのだろう? とちょっと考えてしまっている。

先月、何故か急に思い立って日向のセカンドアルバム『夏の猫』を中古で購入していた。(この頃の作品は全部廃盤なので、中古でもいい値段する)
『夏の猫』は昔、その友人から「サラの犯罪ほどじゃないけど、こっちもいいよ」と言われていた。なのに28年間ちゃんと聴いてなかった。初期5作品の中でこれだけ家にCDが無くずっと気持ち悪かったのは確かで、夏の猫を買ったときは最後のピースがはまって安心したような気分になっていた。(もちろん内容も素晴らしい。)

今になって思えば、これが最後の縁だったのかもしれない。
友人が安らかに眠れるよう、この音楽で静かに見送りたいと思う。。
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# by cubicjams | 2015-04-28 17:18 | オンガク  

入学式

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@立教新座高校

1963年にアントニ・レーモンドが建てたチャペルでの式典だった。
(教会は狭いので保護者には教室でビデオ中継。)
ライトの弟子だったレーモンドだが、この空に向かったアーチ状のデザインや壁の穴などはライトというよりコルビジェ的なニュアンスのようにも思う。

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鐘の音、パイプオルガン、賛美歌、祈り。。
しばらくこういったものに触れる機会がなかったが、たまにはいいものだな、と。
少し心が澄んだような感じになる。

校長の話も聞けた
ここの校長は2年前の震災直後に、高三卒業生に宛てたメッセージが一時ネットで話題になった
http://niiza.rikkyo.ac.jp/news/2011/03/8549/
決して雄弁だったりスマートだったりではないが、力強く、彼の深い人間性が表れたいいメッセージだったと思う。この学校がいいかな、と思った理由の一つでもある


さて。

どんな3年間になるかな。

身長は追いつかれる気がする。

# by cubicjams | 2013-04-09 00:22 | フツウの日記  

シトロエンC6


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先日、愛車C6に最後のお別れをしてきました。
走行中の突然のトラブルから3ヶ月。
エンジンに致命的な損傷があって、いろいろ検討したのですが修理に莫大な金がかかるということで泣く泣く断念。。結局廃車にすることに決めました。
ある日突然乗れなくなってしまったので、精神的にも厳しかったのですが時間も経って気持ちの整理がつきつつあります。

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とにかく、素晴らしい車でした。
優雅で、落ち着きがあって。
「乗り味」という言葉がしっくりくる、唯一のフィーリングを持った車なのだと思います。
重くて大きい車体と、ハイドロ独特の揺らぎ、普段はゆったりしていますが、高速で
100km台後半に差し掛かると、とてつもない直進性を発揮してどこまでも突き進むかのように、空を飛んでいるかのように、走ってくれました。こんなに急に動かなくなると思っていなかったので、遠出もあまりしていなかったのですが、数少ないチャンスで味わったその感覚はちょっと人に伝えることが難しいほど、別の世界のモノでした。

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まだとても綺麗な状態ですが、今回は手放すことにします。
もう新車は手に入らない希少な車なので、街で見かける機会は(今でも滅多に会いませんが)ほとんど無くなるでしょう。いつまでもC6のことは忘れずにいようと思います。

そして懲りずにw、来年からまたフランス車に乗る事になりそうです。
フランス車はオシリのデザインがいいのです。
オシリは重要ですから。。

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# by cubicjams | 2012-12-26 15:50 | フツウの日記  

新生MOZOOSTUDIO

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ブログは久しぶり。
前の書き込みから1年以上経ってしまった。。。

その間、いろいろありすぎですね。
まず、大井埠頭コイケ倉庫からの撤収を決めました。
次は一気に青山にしよう! と決めていたので、表参道などの物件をたくさん探して、最終的に青山一丁目の2つの物件を同時に借りました。

一つはオフィス、一つは新しいスタジオにしました。
昔の倉庫は、何ヶ月もかけてほとんどの物を撤去しました。

物件探しと前の場所の撤収、新しいところの設計、工事監理、契約、引越、セッティング、、、
よく乗り切ったなぁ、と我ながら感心。。

物件は完全なスケルトン貸しでしたので、排水や電気設備のことから全てゼロからのスタート。
設計はいつものように苑設計計画(竹原園子+真治)です。
出来るだけスッキリした空間にして、広さと高さを最大限に生かすように考えられています。

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新しいスタジオの名前は "MOZOOSTUDIO" 。

最も都心にある次世代のモーションキャプチャスタジオを作り上げて行こうと思っています。


MOZOOSTUDIO ホームページ
http://mozoostudio.com/
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# by cubicjams | 2012-11-04 10:00 | デザイン  

もうすぐ7年

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大きな撮影が一つ、終わりました。
10日分の香盤を18日間の中に詰め込んだので結構な密度でしたね。

今回はキャスティングから絡ませてもらいましたが、結果的に凄く良い役者さんの組み合わせが実現できたと思います。現場はいつもいい雰囲気でしたし、なかなか近年稀に見る内容の濃い収録でありました。
個人的な話では、撮影前に買った卓上丸ノコが大道具制作に大いに役に立ちまして、なんでもっと早く買っておかなかったのか、と。。。


スタジオを作った側からすると、こうしていろいろな才能の人が集まり、いろいろな技術を使い、生の演技を収録するライブ感、緊張感もありつつ、何か一つの大きな仕事が成立しているのを見るのは感慨深いものがあります。

出来るのかなぁ〜?と思いながら続けてきましたが、ほんとに出来ていて不思議、という感じ。

そうやって、今月16日で設立7年を迎えます。


あ、、、
16日は締め切りの日では。。。

# by cubicjams | 2011-09-10 20:59 | シゴト